「ファイトケミカル」とは?どんなものに含まれている?上手な摂り方は?

免疫力向上や抗酸化力など、健康によい影響を与える可能性があることで注目されている「ファイトケミカル」(フィトケミカル)。植物栄養素とも言われるファイトケミカルは、その名のとおり、野菜や果物などの植物に含まれています。

ファイトケミカルって何?

ファイトケミカルは、野菜、果物、豆類、いも類、海藻などの植物に含まれる化学成分です。
植物は、紫外線や有害物質、害虫などから自分の身を守るために、色素や香り、アク、辛味などを生産していますが、ファイトケミカルはこれらの中から発見されました。

現在、数千種類のファイトケミカルが確認されていますが、その中には活性酸素と戦う抗酸化作用を持つものが多くあります。抗酸化作用によって老化予防のほか、代謝の促進、免疫力向上、脳機能の強化など、さまざまな働きが期待できるとされています。

ファイトケミカルの種類

ポリフェノール(フラボノイド系)

ポリフェノール

ファイトケミカルの代表がポリフェノールです。赤ワインやブルーベリーなどに含まれるアントシアニン、お茶などに含まれるカテキン類、コーヒーに含まれるクロロゲン酸などがポリフェノールの仲間で、ヒトの体内で強い抗酸化力を持つことが知られています。植物の色素やアクの成分で、水溶性のものが多く、吸収されやすいという特徴があります。

・アントシアニン
赤や青、紫などの水溶性色素で植物を有害な紫外線から守る働きをしています。視力機能の改善や眼精疲労の予防に効果があるとされており、目のサプリメントなどにも多く利用されています。ブルーベリー、ナス、紫芋、赤ワインなどに多く含まれています。

・カテキン類
主に緑茶葉に含まれるポリフェノールの一種で、その中のフラボノイド、さらにはフラバノール類という種類に入ります。茶葉の苦味や渋味の成分で、抗菌作用の他、血中コレステロールの低下や血圧の上昇を抑える働きが期待できます。緑茶や紅茶などに多く含まれています。

・クロロゲン酸
コーヒーに多く含まれており、コーヒーの褐色や苦味、香りのもととなっています。抗酸化作用のほか、脂肪の蓄積を抑える効果などが知られており、糖尿病や肥満の予防への効果が期待されています。コーヒー豆のほか、ジャガイモなどに多く含まれています。

カロテノイド

主に緑黄色野菜に含まれている黄色・橙色・赤色の色素成分の総称で、強い抗酸化作用があります。大きくカロテン類キサントフィル類に分けられ、脂に溶けやすいという特徴があります。

・カロテン類

 

①β-カロテン
にんじんやほうれん草、かぼちゃなどの緑黄色野菜に多く含まれているカロテノイドです。自然界に最も多く存在するカロテン類であり、体内でビタミンAに変換されるプロビタミンA(ビタミンA前駆物質)のひとつです。夜間の視力の維持や、皮膚や粘膜の健康を維持する働きが期待できます。

②リコピン
トマトやスイカに多く含まれている赤色のカロテノイドです。リコピンは抗酸化作用が強く、その抗酸化力はβ-カロテンの2倍以上、ビタミンEの約100倍ともいわれています。また、血流を改善する働きも期待できます。

・キサントフィル類


①ルテイン
ほうれん草やケールなどの緑黄色野菜などに多く含まれる黄色の天然色素です。目の網膜の黄斑を構成する成分の1つで、 目の健康をサポートする働きが期待できます。

②β-クリプトキサンチン
みかんやトウガラシ、パプリカなどに含まれる黄色い色素成分です。高血圧や動脈硬化、糖尿病、骨粗鬆症などの予防効果が期待されています。

 

含硫化合物 

硫黄を含んでおり、辛みと強い刺激臭が特徴です。抗酸化力があるとされ、血行、血流の改善作用、強い抗菌作用、肝臓や消化管の解毒酵素の活性化などの効果が期待されています。

・イソチオシアネート
すりおろすなどして細胞が壊れたときに生成される辛味成分で、免疫力の強化や抗がん作用が期待できるといわれています。大根、わさびなどに含まれています。

・アリシン
切る、すりおろすなどして細胞が破壊される際に生成される香り成分で、殺菌効果などが期待できるとされています。にんにく、玉ねぎ、ニラなどに含まれています。

・スルフォラファン
ピリッとした辛みを持ち、解毒力や抗酸化力を高める作用があることが報告されています。ブロッコリーの新芽に特に多く含まれてます。

ファイトケミカルの上手な摂り方

野菜は皮ごと食べる

野菜の皮やヘタには多くのファイトケミカルが含まれています。料理に使う場合は、よく洗って皮ごと使うのがオススメです。
スープやスムージーにすると皮付きのままでも食べやすいですし、皮を剥いた場合はその皮を捨てずに集めておいて、ベジブロス(野菜だし)として、スープやほかの料理に使うと良いですよ。

カロテノイドは油と一緒に摂る

カロテノイドのβ-カロテンやリコピンなどは脂溶性のため、油炒めや揚げ物などにして、油と一緒に摂ると吸収しやすくなるといわれています。

ファイトケミカルは組み合わせて摂る

ファイトケミカルはそれぞれが持つ働きが異なるため、単体で摂るよりも組み合わせて摂ることで健康へのより一層の影響が期待できます。ファイトケミカルは野菜や果物に多く含まれますので、いろいろな種類の野菜や果物をバランスよく、しっかりと食べるようにしましょう。

 

まとめ

ファイトケミカルは摂取することで、抗酸化作用などの効果が期待できます。
ファイトケミカルは、たんぱく質、脂質、炭水化物(糖質)、ビタミン、ミネラルなどの栄養素とは異なり、通常の身体機能維持には必須とされていないため、欠乏症の心配はない栄養素ですが、様々な病気を予防する効果を持つため、その機能性が注目されています。


ファイトケミカルはヒトの体内で生成することができない物質であるため、野菜や果物などから補う必要があります。
食品に含まれるファイトケミカルは、長時間の加熱やさまざまな食品加工によって破壊されやすいため、摂取する場合は、新鮮な果物や野菜、その他の食品ならば、生か軽く調理されたもの、または加工度の低いものを食べるようにしましょう。