過度の飲酒で認知症のリスクが増加!

仲間との親睦を深めたり、祝い事や伝統行事に欠かせない「お酒」。
少量の飲酒は体に良いという考えもありますが、過度の飲酒は肝疾患、糖尿病、心血管疾患、認知症など様々な弊害を引き起こす可能性があります。


今回はその中でも認知症について取り上げます。

アルコール性認知症

以前から、大量に飲酒する人には脳が小さくなる脳萎縮が高い割合でみられることは知られていましたが、最近の調査によれば、飲酒量と脳萎縮の程度には正の相関が見られることが報告されています。

若い人でもアルコール依存症の場合には前頭葉機能が障害されていることは珍しくなく、やや高齢の依存症者では物忘れや認知症が高い割合でみられると言われています。

アルコールが関係する認知症の原因には、

・多発性脳梗塞などの脳血管障害
・頭部外傷
・肝硬変
・糖尿病
・ウェルニッケ・コルサコフ症候群を含む栄養障害 

などがあり、アルコール以外に認知症の原因がない場合に、アルコール性認知症と診断されます。

飲酒と認知症の関係

<大量飲酒の認知症>

施設に入所している認知症の高齢者の29%は大量飲酒が原因の認知症と考えられたという調査結果があります。


また別の調査では、過去に5年間以上のアルコール乱用または大量飲酒の経験のある高齢男性では、そのような経験のない男性と比べて認知症の危険性が4.6倍、うつ病の危険性が3.7倍と報告されています。

このように大量の飲酒は、認知症の危険性を高めることが示されています。

(参考)松下幸生, 丸山勝也. アルコール依存と認知症. からだの科学 251: 39-44, 2006.

<少量~中等度の飲酒と認知症>

アメリカの4地域(ノースカロライナ州、カリフォルニア州、カリフォルニア州、ペンシルバニア州)に住んでいる、65歳以上の心臓血管健康調査参加者5,888名の男女を対象としてアルコールの摂取量と認知機能を調べたコホート研究において、『1週間あたりの飲酒量がビール1~6本の場合だと認知症発症のリスクは上昇しないが、7~13本や14本以上と飲酒量が増加すると認知症のリスクは高まった』(ビール1本の量は350ml)、という結果があります。

また、この調査では『1週間にビール1~6本程度の飲酒は、全く飲酒しない人や1週間に1杯未満の人よりも認知症のリスクを低下させ、1週間に7杯以上の飲酒によって認知症のリスクが高まる可能性がある』ともされており、全く飲酒をしないよりは、適量のアルコールを摂った方が認知症のリスクが低いことが示唆されています。

(参考)https://jamanetwork.com/journals/jama/fullarticle/196197

ビタミンB群の不足に注意

アルコールを体内で代謝するためにはビタミンB1を始めとするビタミンB群が必要であり、アルコール代謝を行う肝臓を守るための栄養素(ビタミンC、ビタミンE、コエンザイムQ10、グルタチオン、セレンなど)や、良質なタンパク質の摂取もとても重要になります。

お酒を飲むときには、脂身の少ない肉や魚、卵、レバーの他、野菜、果物、海藻、ナッツなどもバランスよく組み合わせるのがお勧めです。

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まとめ

大量の飲酒は認知症の原因となりますが、適量の飲酒は認知症の危険性には関係せず、むしろ認知症を予防する可能性があるということが示唆されています。

しかしこれは、元々飲酒する習慣がない人が飲酒をすることで認知症を予防するということを示しているわけではありませんので、その点は誤解のないよう注意するようにして下さい。

 

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